仙台高専の平成29年度学科改組って結局何なのよ? | 受験生&在校生目線でナレッジスターが分かりやすく徹底解説!!

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こんにちは! ナレッジスター代表の明松真司です!!

仙台高専の「学科改組」が話題になっています

さてさて,仙台高専が次のような記事をWEB上に公開し,
けっこう,私の観測範囲の中でも話題になっているのを見かけました.

■ 平成29年度学科改組の概要 7学科から1学科3類8コースへ (仙台高専)
http://www.sendai-nct.ac.jp/news/2016/07/13/newly-004002.php

ちなみに学科改組は「がっかかいそ」と読みます.

1学科3類8コース??

ナレッジスターでは7月30日,31日にかけて「高専入試無料講座」を開催しましたが,
その際にも「学科改組」についてのご質問を多く受けました.
「7学科から1学科3類8コースへ!!」
というふわっとした一文はご存じの方が多いのですが,
果たしてこの中身ってそもそもどーいうことなのよ?? ということを
疑問に思われている方は,結構多いようです(特に受験生,在校生,そして保護者様).

ということで,この記事ではナレッジスターが
受験生,在校生,保護者目線で「仙台高専 平成29年度学科改組」について
限界まで分かりやすく解説しちゃいます!!

従来の仙台高専

まず,従来の仙台高専は

  • 広瀬キャンパス(情報,電子系学科)
  • 名取キャンパス(電気,機械,建築系)

という2つのキャンパスに分かれていて,それぞれのキャンパス内に
以下の様な内訳で「学科」が存在していました.
(全学科,入試の定員は40人です.)

【従来】名取キャンパス,広瀬キャンパスに,こういう内訳で学科が割り当てられて存在.
【従来】名取キャンパス,広瀬キャンパスに,こういう内訳で学科が割り当てられて存在.

高専を受験するときは, 受験生は「どの学科に入りたいか」を選び,志望して受験します.

【従来】入試のときには「学科」を志望.
【従来】入試のときには「学科」を志望.

そして, 1年次ではキャンパスごとの「混合学級」で様々な講義が行われ,
2年次で, (基本的には)入学時に志望した学科に配属される.
というのが, 従来の高専生活の流れです.

それに対して,平成29年 学科改組が行われると…

で,平成29年度にこの「高専生活の流れ」がガラリと変わるのです!!
それが「学科改組」. まず,学科改組では高専が次のように変わります.

  • 7つあった学科が, 「総合工学科」という1学科だけに.
  • 各分野が8つの「コース」に分かれる.
  • 情報・電子系の3コースが「I類」,機械・電気系の3コースが「II類」,建築系の1コースが「III類」という「類」単位でくくられる.
  • I類は広瀬キャンパス, II類, III類は名取キャンパスで学ぶ.
  • 「応用科学コース」には, 各類から4年進級時に移籍可能.

ちょっとごちゃごちゃとしていますが, 以下の図を参照すると分かりやすいと思います.

【新】 学科改組で1学科3類8コース に.
【新】 学科改組で1学科3類8コース に.

入試は変わる??

さてさて, まずここで気になることが出てきます.
それは, 入試は変わるの?? ということ.

結論からいうと, 「ちょっとだけ変わる」のです.
というのも, 従来の入試では「行きたい”学科”を志望」していたのですが,
学科改組後からは,「行きたい”類”を志望」する形式になります.

【新】 入試では「類」を志望
【新】 入試では「類」を志望

そして, 1年次では混合学級(※1)で様々な分野の授業を受けて,
2年進級時に類の中で「コース選択」をして, 専門に特化します.

【新】 1年次は混合学級.2年進級時にコース選択.
【新】 1年次は混合学級.2年進級時にコース選択.

ざっくり噛み砕き

つまり, 従来の入試では, 受験生は例えば「情報システム工学科」に行きたい!! と言って入試を受けなければならなかった訳です. これってつまり「情報システム工学をやりたい!!」って, 中学を卒業してすぐに宣言させられているようなもの.
しかし,中学卒業の段階でそこまで未来のことを考えている学生がどれだけいるかって, そんなに居るわけがないんですよ.

例えば先程の受験生は学科改組後に受験をする場合,入試時に「I類に入りたい!」と言えば良いことになります.
つまり「情報・電子系をやりたい!!」と「ざっくりと宣言すれば良い」ということ.
 中学卒業→何がやりたいのかを「まずはざっくりと」宣言→2年進級時に細かく決める
という,段階的な分野決定が可能になったと言えるでしょう.

(※1) 1年次の混合学級が「類ごと」なのか「キャンパスごと」なのかは,現段階では未定ということです(公式回答).

入試題は特に今までと変わらず統一されたものを受験することになります.

それと,定員の内訳は以下のとおりです.

bosyuzinin推薦と学力は募集人員が半分ずつ.
全体としての定員は,改組後と改組前では変わりません.

唯一の不安要素は「倍率」

この入試制度の「ちょっとした変化」によって, 劇的に受験状況が変わるということは
無いと思っているので, とりあえず受験生のみなさんはあまり不安がらないで欲しいのですが,
1つ不安要素があれば「H29年度は類ごとの倍率がどうなるか分からない」ということ.

こちらでは,数年分の入学試験の倍率が公表されているのですが,
あくまで「学科ごと」の倍率でしかないので,
これが「類ごと」にまとまったときに,どんな倍率になるか見当が付かないのです.

ざっくりと, 平成28年度のデータで類ごとの倍率を計算

このセクションはちょっと込み入った受験の話なので,
自分には関係ない!という方は読み飛ばしてくださいね.

一応,ざっくりと公式発表の平成28年度のデータで計算してみましょう.

  • 情報ネットワーク工学科 →I類
  • 情報システム工学科 →I類
  • 知能エレクトロニクス工学科 →I類
  • 機械システム工学科 →II類
  • 電気システム工学科 →II類
  • マテリアル環境工学科 →II類
  • 建築デザイン工学科 →III類

と,類の分類を決めた上で, 平成28年度の倍率データを参照しながら
類ごとの参考倍率を計算してみました. 参考倍率は以下のとおり.

  • I類
    【推薦】 志願78人/定員60人 倍率1.3
    【学力】 志願129人/定員60人 倍率2.15
  • II類
    【推薦】 志願75人/定員60人 倍率1.25
    【学力】 志願84人/定員60人 倍率1.4
  • III類 (建築デザイン工学科の倍率そのまま)
    【推薦】 志願50人/定員20人 倍率2.5
    【学力】 志願54人/定員20人 倍率2.7

例えばI類でいえば, 今までは情報システム工学科に集中していた志願者が
I類全体に分散し, 倍率が平坦化された結果として
(学力試験の)倍率が2.15倍になっている
といえますね.

今までよくあった「情報ネットワーク工学科は倍率が低めだからここを受けよう」
という手は, もう使えませんよ,ということです笑

ちなみに,これはあくまで参考倍率なので,
どれほどアテになるかは全くわかりませんということは断っておきます.

何気に目玉なのは「応用科学コース」

で,皆さんもうお気づきかもしれませんが,
「応用科学コース」という何やら異彩を放ったコースが存在します.

【新】 「応用科学コース」が登場.
【新】 「応用科学コース」が登場.

この「応用科学コース」は,

  • どの類にも属さない.
  • 入学時ではなく, 4年進級時, どの類からでも転籍できる
  • 数学や物理の専門的な内容を学ぶ.

つまり, どの類の学生でも, 4年に進級する際に

  • 応用科学に興味がある
  • 優秀である

という条件を満たしていれば, この「応用科学コース」に移って
数学,物理の専門的な学習,研究を行える
ということ!!

昨今の「理学部への大学編入が増えてきている」ということも
この応用科学コースの設置の理由なのかもしれませんね.
個人的には, このコースがめっちゃ羨ましいなぁと思います.
(釧路高専にこんなコースがあったら,絶対に目指してたわぁ…)

この「応用科学コース」については, また近いうちにこのブログで
詳しく分析をしてみたいと思います.

 

現段階で在学している学生については, 学科改組は「関係ありません」

H29年度以降の新入生については, 学科改組後のシステムに沿った
高専生活を送ることになりますが,
現段階ですでに仙台高専に在籍している学生については,
学科改組の影響は受けず,「7学科制」のまま卒業をすることになります.

なので, H29年から5年が経過するまでは,
学校内に学科改組前クラスタ学科改組後クラスタの学生が混在する
という状況が生まれることになります.

公式回答によると,
まだ未確定だが,「8コース」制になった後は, 何らかの「クラス」的なまとまりを作る可能性が高い
とのことでした.

【総論】 個人的には学科改組けっこう良いと思います. あと,受験にも倍率以外で影響はないでしょう.

ということで結論ですが, 私は個人的には学科改組は「良い」変化なんじゃないかなぁ
と思っています. 仙台高専全体での定員も減っていませんし,
「応用科学コース」という, 非常に魅力的な選択肢も増えていますしね.

来年度以降の高専受験に関しては, 「倍率」に関する心配は残りますが,
良い点数取れば合格できる!! ということは
改組前も後も変わりようのない事実なので,
一生懸命勉強して, 自分が一番行きたいところに臨む!!
というスタンスを崩さずに頑張っていれば, 合格の可能性は高くなって行くでしょう.

それと, 在学生は全く影響を受けないみたいなので,
今までどおりの高専生活を楽しみましょう笑

参考になっていれば幸いです

ということで, この記事が受験生の皆さん, 在学生の皆さん,
保護者の皆様にとって参考になっていれば幸いです!!
お読み頂きありがとうございました.

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