高専受験情報

高専の受験については,通常の公立高校受験と少しだけ性質が異なります.
明確な受験情報をしっかりとまとめてあるサイトがあまりないようなので,
こちらに高専受験のことを網羅的に(要点をピックアップして)まとめておきます.

公式の入試情報

公式の入試情報はこちらです.
(国立高専機構の入試情報です.各高専の学生募集要項などにもこちらからジャンプできます)

受験の種類

高専受験は,推薦受験一般受験にわかれます.スケジュールは例年

  • 推薦受験 (面接や作文など.高専によって多少内容が異なります) – 1月中旬〜下旬
  • 一般受験 (学力試験,面接など.高専によって多少内容が異なります) – 2月下旬

あたりです.平成30年度受験は推薦受験が1/17, 一般受験が2/18でした。

推薦受験は,内申点の条件を満たさないと出願できません

推薦受験については,評定が条件を満たす生徒のみが出願可能です.
(仙台高専では,3年間で学習記録の評定の合計が108以上)

ちなみに,仙台高専の評定の合計が108というのは,
3年間の内申がオール4.0というのに相当します.
でも,ギリギリだとなかなか不安です.どうしても推薦で合格したいなら4.5は欲しい.

一般受験の出願については,内申点の条件はありません

推薦受験に不合格だった場合も,一般受験できます.

推薦受験が万が一不合格でも,その後の一般受験にチャレンジできます.
ちなみに,推薦と一般の倍率は,年,学科によってけっこうバラバラ.
出願したい高専の過去のデータをしっかり分析しておく必要があります.

ちなみに私は学生時分,高専の推薦受験に運良く(?)出願できたのですが,見事に不合格を食らいました.結局,その後の一般受験で合格できたのですが,推薦で落ちたときはかなりダメージ受けた記憶が…なぜなら,推薦を受けられたタイミングでなんだか気が抜けて,推薦で受かるもんだと思っていたのです.だから,あんまり一般受験の対策をしていなかったんです(一般受験で合格できたのほんと,何でだか未だにわからない).
ということで,推薦は「受かればラッキー」くらいで良さそうです.学力試験が本番です.推薦に出願できたとしても,学力試験の対策はしとかなきゃダメ.推薦落ちてまともにダメージ受けたら,立ち直るの大変だよ.

入試のスケジュール (宮城県の場合)

宮城県の場合(※各高専で受験のシステムが多少異なりますので,ここでは宮城県の入試について記載します),高専受験と公立高校受験ですが,以下の様なスケジュールです.

  1. 高専推薦受験
  2. 高専推薦合格発表 →合格の場合,基本的に辞退はできない(※1)(※3)
  3. 高専推薦入学確約期限
  4. 公立前期受験
  5. 公立前期合格発表 →合格の場合,基本的に辞退はできない(※2)(※3)
  6. 公立前期入学確約期限
  7. 高専一般受験
  8. 高専一般合格発表
  9. 高専一般入学確約期限
  10. 公立後期受験
  11. 公立後期合格発表

(※1) 厳密に言えば辞退が不可能なわけではありませんが,中学校の信用問題に関わったり,後輩に迷惑がかかったりするので,中学校側にNOと言われます.
(※2) 厳密に言えば辞退が不可能なわけではありませんが,中学校の信用問題に関わったり,後輩に迷惑がかかったりする理由で中学校側にNOと言われます.また,この場合は公立後期に出願することはできなくなります.なのでその場合私立を受験することになります.
(※3) (※1)と(※2)により,高専推薦と公立前期の併願はできません.

公立後期と高専一般は併願をしましょう

高専一般と,公立後期は併願が可能です.
(基本的に,高専を受験するならばこの併願はするべきでしょう.
合格を確実にとるために,公立後期は高専よりも1ランク下の高校にすることが多いです.)

中学校の担任によっては,進路指導経験が浅く,高専受験のことを熟知していないことがあります.中でも驚いたのは,高専一般と公立後期の併願が出来ることを把握してなかった先生もいたこと.必ず出願については,2人以上の先生との綿密な相談をすべきでしょう.例えば,

  • 担任と進路指導
  • 担任と塾
  • 担任と塾と進路指導

など.高専と公立後期を併願可能と知らず,公立後期を受験するために高専受験を辞退し,あとで「併願可能」と知った時には手遅れ…というケースを見たことがあります.そのようなことにならないためにも,受験生の皆さん,保護者のみなさんはくれぐれもお気をつけて.

このように,

  • 高専推薦,公立前期 → 併願不可
  • 高専一般,公立後期 → 併願可

という関係性があります.なんだかややこしいですね.
分かりやすくするために,判定表をご用意しましたので,ご確認ください.
「どちらも出願できる」ところに◯,「できない」ところに×をつけてあります.)

公立前期 高専推薦 高専一般 公立後期
公立前期 × ×
高専推薦
高専一般
公立後期

ただし,以下のことにも注意です,

  • 公立前期に合格したら,公立後期は受けられません.
    「公立前期に不合格,公立後期に出願」は可能.)
  • 公立前期と高専一般は併願できません.
    「公立前期の合格発表は,高専一般の出願締切よりも後(高専一般の試験日よりは前)」です.仮に併願をしたとすると,「公立前期に合格している状態で高専一般を受験する」)
  • 高専推薦に合格したら,基本的に辞退はできません.
    「高専推薦合格を辞退→公立後期を受験」は基本的に不可.)
  • 高専推薦に不合格,高専一般に「出願せず」に公立後期を受験は,宮城県では可能です.
    (地域によっては,高専推薦を受験したら必ず一般も受験するという決まりがあることがあります.)

学力試験

高専の学力試験(一般受験)の科目は,通常の5教科です.

  • 国語
  • 数学
  • 理科
  • 社会
  • 英語

また,高専の試験問題は,高専独自のものです.
よって,公立高校受験とは,かなり毛色の違う問題が出題されます.
過去問題とその解答は,高専の公式ホームページで入手できます.

高専の学力試験では「傾斜配点」が導入されることが多いです

高専の学力試験では,特定の科目の配点が変わる,傾斜配点が導入されていることが多いです.
たとえば宮城県の場合,数学のみが200点満点,他がすべて100点満点で採点されます.
(つまり,数学ができると一気に有利になり,できないと一気に不利になる.)
しかも,数学は難易度が公立高校受験とくらべてかなり高いです.みなさん,勝負は数学です.

まぁ要するに,高専は工業系の学校なので,理系科目ができる人が欲しいわけです.
僕が高専に入学した当時は,先生からこう言われていました,

みなさん,数学は得意ですか? 数学ができれば高専は卒業できます.数学ができなければ,高専は卒業できません.なので,皆さん是非,数学をがんばってください.

事実として,高専ではその学科の内容に特化した「専門科目」があるのですが,それはほとんど数学をベースに成り立っているものでした.なので,やはり数学がめちゃくちゃ大事なのです.学力試験で数学の満点が高い理由はそれです.

実際のところどのくらい難易度が違うのか

公立高校と高専の受験問題の難易度の差が,実際のところどのくらいなのか?
ということは,なかなか気になることかと思います.僕の所感では,

  • 数学と理科 – 難
  • 他 – ふつう

くらいの感じがしています.
「天と地の差くらいの難易度!」「高専の入試問題は凄く難しい!」
という声をよくききますが,僕は
「高専のほうが確かに難しいが,そんな大げさに言うほどでもない」
くらいの感覚です.頑張って早い内からやれば,解けるようになります.要は底力が必要なだけです.

やっぱり一番大事なのは数学

高専受験で,やはり最も重点的に対策をしなければならないのは

  • 傾斜配点
  • 高難易度

という点で,数学になるのかなぁという気がしています.
数学の試験を受けるときの心得を以前まとめたものを以下に貼っておきます.

  • 基礎問題(第一問)をのぞき,すぐには正解にたどり着くことはできない.高専受験の数学では,まず解き方のロードマップを決め,それを常に意識しながら地道に正解に近づいて行くことが大切だ.
  • 「大きな問題を小さな問題に分割」して解く(分割統治法)ということを意識しよう.工学や理学で現れる重要な問題は,そのようにして解決する必要があるものばかりだ.高専の受験では,その思考能力を問われている.
  • 頭のなかに「ひらめき」が1つ出てきた瞬間に,問題が突然解け始めることが多い.そしてその「ひらめき」は,根気よく悩むことにより必ず得られる.焦ること無く,じっくりと考えを巡らせて,「ひらめいた」瞬間の感動を味わってほしい.高専の問題は,数学の楽しさに気づくのに最適な題材だ.

大事なのは,楽しんで受験勉強をすること!だと思います.一筋縄じゃいかない問題を今までに学んだ知識を巧みに組み合わせて解くことは,RPGでボスを倒す感覚に似ています.その過程をぜひじっくり味わって,高専入学の頃には数学を好きになっていてほしいです.

高専過去問解説(数学)をご自由にご利用ください.

ナレッジスターでは,高専過去問解説(かなり詳細で分かりやすいです)を
公開しています.多分,いまこれを公開しているのはここだけじゃないかな.
どんどんつかって,どんどん友達,お知り合いに配ってあげてください.
■ 高専過去問解説(数学)は こちら から.

平成28年度から,解答がマークシート方式になります.

平成28年度の学力試験から,解答用紙がマークシート方式に変わります.
しかし,公式に公開されているマークシートサンプルから分析をしてみた感じだと,特に新たなコツが必要ということはなさそうです.
(「解答の数値のみ」をマークで答える形式のようです.センター試験のように
 「途中計算も含めてマークで答える」みたいなややこしいことはないです.)

平成27年度の数学の問題を数問,マークシート方式に直したものを
こちらで公開していますので,参考にしてみてください.

対策を始める時期

高専受験においては,難易度が高いこと,論理的思考力が要求されることを加味して
遅くとも3年の夏休みくらいには,がっつりと意識しておくことが必要かと思います.
(過去問を見てみたり,解けそうな問題を解いてみたり)